ERP を定義する!

私は Enterprise Resource Planning (ERP) の世界に入って早10年を過ぎました (2006年01月現在)。ERP をする前は、Total Quality Management (TQM) の世界でコンサルタントをしていましたから、TQMの世界からまったく知らない ERP の世界へ飛び込んできた事になります。

皆さんが新しい分野に手を出す時に、真っ先にすることは何でしょうか?私は、新しい分野を簡単に説明できるように、その定義を考えるようにしています。ERP の世界に入る時も同様でした。ERP って何!?に解答できるようにする事が最初の一歩でした。ところが、調べても調べても ERP に関しては明確な定義が発見できません。当時は、いろいろな文献で ERP を紹介し始めた時期で、どうやら明確な定義がなかったらしいのです。そこで、私は、ERP を次のように定義しました。

Enterprise Resource Planningとは、経営資源管理とビジネス・プロセスを統合し、それらに関連する情報を一元管理することを達成するためのソフトウェアパッケージ

さて、こうして表記すると、経営資源管理という概念が新しいと考えて、新たに経営資源管理を定義することにしました。

経営資源管理 (Enterprise Resource Management) とは、顧客満足度を最大にするために、組織が持つ経営資源(人、物、金、情報)を最適化及び統合化するための計画及び活動。ここで言う "最適化" とは、企業が、定められた経営目標を達成するために、経営資源を効果的に配分することであり、また、"統合化" とは、企業が持つ経営資源を、その組織に関わる全て(人同士や部署間、会社間など)が共有できかつ相互に連携させること、である。

もう10年も前に上記の定義を作成しました。ERP って何ですか!?とお客様から質問されれば、今でも上記の説明をします。つまり、ERP の最終的なゴールは、今も昔も、上記のようなパッケージをお客様に成果物として納品することが、私の使命であると考えているわけです。もし、上記のような定義が崩れるようであれば、プロジェクトは失敗、又は ERP のプロジェクトではない、と判断することにもなるわけです。

賛否両論あるとは思いますが、私は会計分野だけのプロジェクトや販売系だけのプロジェクトは、いづれERP ではないと判断します。なぜなら、経営資源を最適化するためには、いづれのプロジェクトも不足している事項があると考えているためです。皆さんはどう感じますでしょうか・・・

NOTE: 経営資源を人、物、金の3つに定義する事が多いが、最近では情報や時間といった内容も経営資源に含める事がある。ただ、本ブログでは、人的に制御する事ができる人、物、金、情報の4つとすることにする。

中堅企業の ERP 市場

ノークリサーチは、最近になって中堅企業の Enterprise Resource Planning (ERP) 市場に関する調査結果を報告しています。

ノークリサーチは、IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを行っております。特にミドルレンジコンピュータ、ミドルマーケット(中堅・中小企業)におけるリサーチ・分析・コンサルテーションに多くの実績を持っています。

調査結果によれば、2005年度の中堅企業における ERP の市場は、おおよそ 676億円、2006年には約740億円になるとしています。また、市場規模は、年々堅調に成長するとみていて、2010年には1000億円を超えるとも予想しています。

特に注目すべきは、中堅企業向け ERP 市場におけるパッケージのシェアですが、トップは富士通の GLOVIA-C で 18.7%、第2位が大塚商会の SMILE α AD で 13.8%、第3位が住商情報システムの ProActive の 9.7% と上位3社はここ数年変化がないそうです。肝心の SAP ですが、レポートによれば、中堅企業のための ERP としては、競合パッケージとしての位置づけはないようです。

レポートに掲載されている ERP が、どうも私が考えている内容とはちょっと違っているようにも感じていますが、こうした市場を理解しての活動が必要なようです。