中堅企業での ERP 導入プロジェクト 3/4

中堅企業での ERP 導入プロジェクト 1/4において、計画業務の整備に関してもERPプロジェクトでは重要であることを記述しました。本稿では、この事について、概要を記述することにしましょう。

私は、ERP導入の最良の結果として、リアルタイム管理が上げられると考えています。これまでのビジネスの結果が、時間単位や分単位で出てくること、これがまさに最高の結果ではないでしょうか!?逆にいうと、リアルタイムでの管理が必要でない企業は、ERPの効果は半減、いやないと言っても過言ではないかと最近考えています。例えば、大型建築物(1年以上も完成に時間が掛かる)に本当にERPが必要でしょうか?それこそプロジェクト管理のきっちりとしたパッケージで管理したほうがはるかに効果が大きいと考えますが、如何でしょうか・・・

これから概要を記述する計画系業務の整備は、まさにリアルタイムマネージメントが必要な企業に限定しています。ただし、誤解していただきたくないのは、リアルタイムマネージメントを実施していないからといって、必要ないという事にはならないことを知っておいて下さい。

では、このリアルタイムマネージメントが必要な企業とは、どうやって判断すればいいのでしょうか。私は、以下の判断基準で、お客様には、リアルタイムマネージメントが必要であろうと訴えることにしています。

  1. 日常業務での製品出荷の有無(有りであれば、当然リアルタイムマネージメントが必要です)
  2. 日常業務での購買業務の有無(これも出荷と同様、有りであればリアルタイムマネージメントが必要です)
  3. 日常業務での受注の有無(これも他の2業務同様、有りであればリアルタイムマネージメントが必要です)

この他にもありますが、上記の3つの業務に着目すれば、大方リアルタイムマネージメントが必要かどうかを判断することが出来ます。こうした日常業務が発生しているにもかかわらず、月間で計画を構築しているとなるとどこかで問題が発生しているはずです。これを見つけるのがコンサルタントの勝負どころです。

さて、リアルタイムとは、どこまでリアルタイムにするべきでしょうか。これは、出荷業務サイクルにあわせるのが基本です。例えば、出荷が1日1回の場合、日単位で管理、一日に数回の出荷があるようであれば、時間単位でのリアルタイムが必要です。この出荷の単位にマネージメントが合致していない場合、かならず全体業務の中にごまかしがあるはずですから、調べてみることが重要です。

さて、計画業務の整理ですが、まずはこの出荷における単位を確認して、時間でのリアルタイムが必要か、日単位でのリアルタイムが必要かを決定します。これによって、明確に目指すべきリアルタイムマネージメントをセットし、理想像をまずは絵にします。お客様は、リアルタイムマネージメントに関して、始めは抵抗することもあるでしょうけど、まずは耐えることです。理想形がないと直ぐに妥協していくのが人間ですから。

理想の計画業務を構築したら、次に計画に関連する全ての業務での現状を把握し、計画サイクルが変更された場合のインパクト明確にしていく必要があります。ここで注意して頂きたいのは、Fit/Gapではなく、Impactを分析することです。Fit/Gapでは、理想形に近づけるには、かなりの時間が掛かりますから・・・お客様も、それなりにプライドがありますから、「これくらいのインパクトは大丈夫ですよね?」と迫っていくことが重要です。すると、何とか合意に達することが可能です。

計画は、販売、生産、購買、と全ての業務に関連します。単純に一部門だけの課題ではないことは、私が詳細を記述しなくとも理解できるでしょう。

とにかく、リアルタイムの計画に近づければ近づけるほど、ERPの効果が大きくなってきます。これまで、実行系の業務をリアルタイムで管理するまでに至った例は多数ありますが、計画系をリアルタイムに持ち込んだケースは見たことがありません。

ちなみに、あるお客様においては計画自体が無かったわけですが、いよいよMRPでの生産に移行しました。生産現場では、現状の日々の計画では、マシーンがついていけない、といった悲鳴もあるようですが、ここは踏ん張りどころです。どうしてマシーンがついていけないのか、日々の計画を月単位に変更したら、また元に戻ってしまう!ここの調整がコンサルタントとしては、一番面白い!とは、簡単には考えられるようにはなりませんが・・・