中堅企業の ERP 市場

ノークリサーチは、最近になって中堅企業の Enterprise Resource Planning (ERP) 市場に関する調査結果を報告しています。

ノークリサーチは、IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを行っております。特にミドルレンジコンピュータ、ミドルマーケット(中堅・中小企業)におけるリサーチ・分析・コンサルテーションに多くの実績を持っています。

調査結果によれば、2005年度の中堅企業における ERP の市場は、おおよそ 676億円、2006年には約740億円になるとしています。また、市場規模は、年々堅調に成長するとみていて、2010年には1000億円を超えるとも予想しています。

特に注目すべきは、中堅企業向け ERP 市場におけるパッケージのシェアですが、トップは富士通の GLOVIA-C で 18.7%、第2位が大塚商会の SMILE α AD で 13.8%、第3位が住商情報システムの ProActive の 9.7% と上位3社はここ数年変化がないそうです。肝心の SAP ですが、レポートによれば、中堅企業のための ERP としては、競合パッケージとしての位置づけはないようです。

レポートに掲載されている ERP が、どうも私が考えている内容とはちょっと違っているようにも感じていますが、こうした市場を理解しての活動が必要なようです。

ERP を定義する!

私は Enterprise Resource Planning (ERP) の世界に入って早10年を過ぎました (2006年01月現在)。ERP をする前は、Total Quality Management (TQM) の世界でコンサルタントをしていましたから、TQMの世界からまったく知らない ERP の世界へ飛び込んできた事になります。

皆さんが新しい分野に手を出す時に、真っ先にすることは何でしょうか?私は、新しい分野を簡単に説明できるように、その定義を考えるようにしています。ERP の世界に入る時も同様でした。ERP って何!?に解答できるようにする事が最初の一歩でした。ところが、調べても調べても ERP に関しては明確な定義が発見できません。当時は、いろいろな文献で ERP を紹介し始めた時期で、どうやら明確な定義がなかったらしいのです。そこで、私は、ERP を次のように定義しました。

Enterprise Resource Planningとは、経営資源管理とビジネス・プロセスを統合し、それらに関連する情報を一元管理することを達成するためのソフトウェアパッケージ

さて、こうして表記すると、経営資源管理という概念が新しいと考えて、新たに経営資源管理を定義することにしました。

経営資源管理 (Enterprise Resource Management) とは、顧客満足度を最大にするために、組織が持つ経営資源(人、物、金、情報)を最適化及び統合化するための計画及び活動。ここで言う "最適化" とは、企業が、定められた経営目標を達成するために、経営資源を効果的に配分することであり、また、"統合化" とは、企業が持つ経営資源を、その組織に関わる全て(人同士や部署間、会社間など)が共有できかつ相互に連携させること、である。

もう10年も前に上記の定義を作成しました。ERP って何ですか!?とお客様から質問されれば、今でも上記の説明をします。つまり、ERP の最終的なゴールは、今も昔も、上記のようなパッケージをお客様に成果物として納品することが、私の使命であると考えているわけです。もし、上記のような定義が崩れるようであれば、プロジェクトは失敗、又は ERP のプロジェクトではない、と判断することにもなるわけです。

賛否両論あるとは思いますが、私は会計分野だけのプロジェクトや販売系だけのプロジェクトは、いづれERP ではないと判断します。なぜなら、経営資源を最適化するためには、いづれのプロジェクトも不足している事項があると考えているためです。皆さんはどう感じますでしょうか・・・

NOTE: 経営資源を人、物、金の3つに定義する事が多いが、最近では情報や時間といった内容も経営資源に含める事がある。ただ、本ブログでは、人的に制御する事ができる人、物、金、情報の4つとすることにする。

コンカレント・コンサルティング

これまで、コンサルタントは、各自の得意分野を単独、ないし少人数でコンサルティング業務をこなし、大規模な業務に至っていないのが現状です。残念ながらコンサルタント同士の潰し合が発生しているケースもあるようです。

また、基幹業務システム導入と呼ばれる大規模なプロジェクトにおいては、100名近いコンサルタントと呼ばれる人々が終結していますが、実態はコンサルタント終結しているというよりは、エンジニアが終結しているケースが多いようです。従って、私が考えているコンサルテーションは実施していないと感じています。

一方で、コンサルタントに対するお客様の要求や期待は大きく、我々コンサルタントも、年々業態を変化させていく必要がでてきました。日本経済が冷え込み、人件費カットや設備投資の凍結など原価削減にはしる企業が多い今こそ、コンサルタントの成果が試されるときです。そのためには、大規模なコンサルタントチームを結成し、根本から企業体質を改善していく Know-How を提供する必要があります。

コンカレント・コンサルティング(またはコンサルテーション)とは、まさに企業(お客様)に対して、いろいろなコンサルタントが、それぞれの持つ得意分野を集結させ、それらを同時並行にサービスとしてお客様に提供することを指します。

本サイトで、多分始めて「コンカレント・コンサルティング」という言葉を耳にすると思いますが、まだ一般的ではありませんし、概念として確立されているものではありませんので御了承下さい。そういう意味では、初めての概念かもしれません。